Vol.3 ハウザー家との出会いそして2代目、3代目、4代目との親交
[投稿日:2018年10月3日]

ディアンジェリコ アンジェリコ ジャズギター フルアコ セミアコ ハウザーギター 椎野 秀聰

椎野秀聰 & ハウザー2世

ハウザー家を最初に訪問したのは1974年だったと思います。 ディンゴルフィンというアルプスの麓の駅からハウザー2世が迎えに来てくれた車で30分ぐらいのライスバッハという平和な村のようなところに当時の工房はありました。

ドイツ式の組み立て工法を確立した合理的なクラシックギターを製作し、Segoviaを始め当時のギタリストに絶対に信頼をされたブランドであります。その特徴は質実剛健というかしっかり弾かないと音が出てこないほどでギタリストの力量が必要なギターでした。またそのように弾けばホールの隅々まで響き伝わる美しい音色が特徴の遠鳴りするギターでした。ヘッドストックをネックに差し込んで作り、ボディーのジョイントにも特別な工夫がしてあります。車でいえばメリセデスベンツという感じでした。工房は機械化などをせずに至ってシンプルで弟子と二人で年間12本ほど作っていました。

その後何十年も経ってふと思い出しドイツ周辺をドライブしていた折に立ち寄ってみました。 2世は亡くなっていましたが息子さんの3世が出てきましていろいろと昔の話やその後の私のやっていたことを説明していたら

「なんでもっと早く来なかったんだ、あなたのような人を待っていたんだ遅すぎる」

と言われ彼が今まで溜め込んでいた新しい構想や設計等についてお互い熱く語り始め一泊することになりました。 ハウザー家は立て直し、近所の道にはハウザーストラーセ(ハウザー通り)という標識があってすっかり地元の名士になっていました。

ディアンジェリコ アンジェリコ ジャズギター フルアコ セミアコ ハウザーギター 椎野 秀聰

ハウザー3世 & 椎野 秀聰

クラシックギターに対する完成度についてはアントニオ・デ・トーレスが1800年後期に作ったものがその原型となっています。フレタやブーシェなど代表的なるルシアーが忠実にその技術の引き継ぎをしましたが、ハウザ−3世と私の疑問はなぜあのボディーの容量なのかという点でした。そこで容量を少なくしたモデルを作ってみたら出てくる音量はフルサイズに変わらないものが出来たのです。 裏付けはバイオリンはフルスケールのあの小さな箱が1対1でフルオーケストラと共演し、PAのなかった時代にバイオリンコンチェルトを音量でまけない演奏ができることでした。 そこでハウザーの試作したギターを私がよく検証し作り直して、標準タイプとロングネックタイプを2本ずつ製作し最終判断しようということになりました。 このモデルに興味があれば製造するライセンスを我々と契約しどこのメーカーでも製造が可能です。

ディアンジェリコ アンジェリコ ジャズギター フルアコ セミアコ ハウザーギター 椎野 秀聰

Hauser classic gut guitar CG-1

ディアンジェリコ アンジェリコ ジャズギター フルアコ セミアコ ハウザーギター 椎野 秀聰

Hauser modern steel guitar MS-1

滞在中にいろいろと話をした最後に私が

「いろいろなるルシアーにあって感じたことだがいい楽器を丹精込めて作るとルシアーは利益が取れなくなり生活に余裕がなくなるがそれで君はいいのか」

と問うとハウザーは

「ルシアーの歴史は貧乏との戦いの歴史だと父も言っていた」

と答えた。 私はハウザー家のためにもこのモデルを生産し豊かな生活を送ってもらいたいと切に望む所以であります。

ディアンジェリコ アンジェリコ ジャズギター フルアコ セミアコ ハウザーギター 椎野 秀聰

美しいハウザーファミリー

筆者:椎野 秀聰